おじゃまします。ダイワハウスです。

西田さん、こんにちは。
ブログ読者の皆様、始めまして。
ダイワハウスの森です。

私がこのアパートの存在を知ったのは、西田さんと初めて出会った昨年の7月です。
まだこのブログも立ち上がってない時期に、当ブログの最初にアップされている模型やスケッチを見せていただいたのですが、正直なところ、うまく全体を想像できませんでした。
でもその後WEBや雑誌紹介等で情報を仕入れ、今回、西田さんのご説明と共に実物を体験させていただいたことで、ようやくこの建物の醍醐味を理解できたように思います。


外観は思っていた以上に尖がったイメージではなく、形態的にはさほど違和感がありませんでした。周辺が勾配屋根ばかりのところにフラットなので、どうかな?と思っていたのですが、意外とあのデッキというか庇というかあの部分が周囲の建物に馴染ませているように感じたのです。また、どちらかというと沈んだ色合いの街並みの中で、白い建物が「へ」の字に曲がった前面道路のどちらから見てもアイストップのアクセントとして効いていたように感じました。

西田さんのいうピロティ空間の「広場」に入ってみて、置いてある椅子を座って廻り、階段の踊り場まで上がってみたりして、なんとなく「広場」とおっしゃった感覚がつかめました。

私の「広場」のイメージは、西洋で昔からある「広場」ではなく、子供の頃、廻りにたくさんあった「空き地」のような「広場」です。学校から帰るとなんとなくそこへ足が運ぶ。約束していなくても気の合う友達が自然に集まってくる。たとえ誰もいなかったとしても1人でいても妙に落ち着く。そんな少年時代の感覚を呼び覚まされたような感じです。


以前は人見知りをしていた なのはちゃんが、この広場で社交性を身につけてきているようなことをおっしゃっていましたが、そのことで昔、清家清さんが「庭」について語られていたことを思い出しました。
「庭」という字は「广」と「廷」からなるところから、家の中で躾をする場所という意味があったそうです。だから住まいには「庭」が必要なのだというような意味のことです。今は屋根のないところを庭と呼んでいますが、昔は屋根のある土間空間もそう呼んでいたとのことです。ですからこの「広場」には既に日常として様々な機能がオーバーラップしているような感じです。人の集まり方で自然と機能が変わる感じですかね。(なのはちゃんは息子と同い年なので、会えるのを密かに楽しみにしていたのですが、残念でした。)


「広場」をさらに魅力的にしているのが、三角柱とあの階段なんでしょうね。
広場を囲うようにある壁面は外壁ではなく、柱であり、ピロティ空間です。でも、よくあるスカスカのピロティではない。空間に「たまり」があり、いい居心地をつくっています。そこに踊場が内外をつなぐステージと化し、そのレベルや階段の勾配も互いに違うため、変化のある立体的な視線の動きが交わされる。森の中に全く同じ形をした木がないのと同じように、それぞれに微妙に違う体験ができるのは、完全な人工物でありながら、なんとなく自然を感じさせます。

西田さんは「通り」と「広場」の関係をスタバにいるような感覚と、どこかで書かれていましたよね。専用個室を上階に用意されたスタバを自由に使えると考えると、すごく贅沢な感じがしました。リゾートとはまた違う感覚で、日常の中でも適度な刺激と気持ちのゆとりが生まれるような気がします。


この建物は定住の「持ち家」ではなく、あくまでも「仮の住まい」(賃貸)であり、その運営方法は通常とは違う試みがなされています。広場の使用許可に個室が付随しているなんていうのはその「仮の住まい」という感覚をより強く認識させているようにも感じます。オーナーさんの意図通り、ここから数々のアーティストが育っていく。そんな期待感にリアリティを感じさせます。帰る頃には「う〜ん、内容が深くて濃いなぁ。」と感心させられるばかりでした。

急いでワーッと書いたのですが、意外と長文になってしまいました。そろそろこの辺で。


オンデザイン、およびヨコハマアパートメントの住人の方々の今後のご活躍を期待しています。
また、今後とも我々と適度にお付き合いいただきますよう、よろしくお願いいたします。
本当に色々とありがとうございました。


最後にちょっとだけ宣伝をお許しください。
私は新建築社様とご一緒に「ダイワハウスコンペティション」を毎年企画しています。
今年も実施する方向で検討していますが、実施できた際には、皆様、ぜひご応募よろしくお願いいたします。


森 晋樹/ダイワハウス