18日目(8月26日)

みなさま、こんにちは。

今回は、
竣工前内覧会の連動企画シンポジウムに、大変ご多忙中ながら参加して下さり、
また、ご自身のブログでレビューまで書いて下さった(→http://www.round-about.org/2009/08/post_108.html
藤村龍至さんに、この場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。

藤村さんとは、昨年のトリエンナーレでのBankARTに於ける「U35 西田司+藤村龍至展」でもご一緒させていただきました。

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拝啓 藤村龍至さま

ずっと書こう書こうと思っていて、遅くなってしまいました。
先日の竣工前内覧会にいらしていただいた際のレビューを、拝見させていただいておりました。
本日は、そのレビューのレビュー、もしくは、竣工前内覧会のシンポジウムの際の感想を、非常に稚拙な表現ながら、書かせていただければと思っております。


...彼ら(展示を計画した403のチーム)は「プロセス」の話に期待して(藤村さんを)呼んでくれたみたいだが、
 話を聞いていると「スタンス」の話のほうがしっくりきた。
 スタンスを定めずにプロセスの話だけしていても意味がないし、
 逆もまた真なり。


まさにその通りで、呼んだ彼らは、藤村さんの、いわゆる超線形プロセスの話を期待していたと思います。
しかし、実際は、各々のスタンスが問われるシンポジウムでした。

藤村さんは、はっきりと
「フリーペーパー、シンポジウム、本、展覧会とメディア活動に焦点を定めて活動を展開し、
メディア関係者にターゲットを絞って問題提起を続けている。」とおっしゃっています。

それに対し、オンデザインは、
基本的には実作主義なスタンスをとっており(たぶん)、
建築家ならば、表現として使うメディアは、空間、もしくは建築であるべきだろう、という、従来のベタなタイプです。

しかし、完成した空間のみで語れることなんて、本当に少ないのです。
写真に一瞬写っただけの景色なら、ただの偶然でしかない、ということを、今回ヨコハマアパートメントができて、
かつ、住んでいると、痛いくらい感じます。

追いかけてきた完成前のプロセスと、今後、さらに追っていかなければいけない完成後のプロセス、そのすべてをスタンスとして表明することは無理でも、
ある、他人に表明できるかたちで残すことは、非常に建築家として重要な職能です。

その表明するかたちで残す、ということのみを取り出したとき、
非常に演じているかのように(どう見せたいかということを故意に誇張するスタンスのみが前面に出て)見えてしまうことがありますが、
藤村さんは、その「表明すべきもの」を、どんなメディアでものせられる形で、記録していて、
その記録の糧を、ドキュメント映画のように、ある設けられた場で怒濤のように発表していらっしゃいます。
発表できる体制をとり続けること自体が、藤村さんのスタンスそのものであるかのようです。

その、必要性を、いま痛感する限りです。

また、機会がありましたら、
どなたかお連れになって、ヨコハマアパートメントにいらして下さい。

先日来ていただいた際よりも、だいぶ空間として更新されています。
その際、また、ご高評いただけましたら、それに勝る喜びはありません。

おんでざいん なかがわ