設計の未来

みなさん、こんにちは。

大阪でstudio-Lという事務所を主宰している山崎亮です。

昨日、西田さんの紹介で初めてヨコハマアパートメントにお邪魔しました。前から話には聞いていたけれど、実際に訪れてみると「それをどう理解すればいいのか?」が試されているような気がしました(笑)。「理解するな、感じろ!」という人もいるでしょう。でも、ぼくは頭でっかちなので、理解しないとその先に進めない窮屈な人間なのです(汗)。そんな人間が「そうか、つまりこういうことなんだろうな」と理解した(つもりになった)ことを以下に記します。

twitterでもつぶやきましたが、ヨコハマアパートメントでは、ハードをつくるデザインと、完成後の管理運営に関わるマネジメントとの境界線が消えて、両者がうまく相互作用しているなぁ、と感じました。ヨコハマアパートメントは、西田さんがデザインして、その後のマネジメントにも関わっているわけですから、「あとはマネジメントでなんとかするのでデザインはこのあたりで止めておこう」という意思決定が可能になる。空間が完成した後のマネジメントにも自分が関わり続けると決断すると、「つくり逃げ」ができないので「つくり方」に大きな責任が生じますね(もちろん、多くの設計者は責任感を持ってデザインに取り組んでいると信じているが)。

その一方で、誰が管理するかわからないので空間を「いたれりつくせり」にしておく必要は無くなります。床の仕上げ、階段や手すりのあり方、キッチンや倉庫など、本来は入居者が決まった後でいろいろ意見を聞きながら微調整したほうがいいものについては、デザインの段階でごちゃごちゃ考える必要は無い。だから、建築がいさぎよくなるし、事後の生活に応じて対応できるようになる。このあたりはとても参考になりました。実際に人が生活してみなければわからない諸相というのは確実にあるわけで、その時々の状況に応じて対応できるアダプティブマネジメントがとても重要だな、と感じました。そして、そういうマネジメントの視点がデザインに影響を与えるようになると、建築の設計もまちづくりも大きく変わっていくだろうなぁ、と思いました。その意味で、ヨコハマアパートメントで繰り広げられる生活と、それに応じて変化する空間を記録し続けることは、これからの建築設計やまちづくりのあり方を刷新するきっかけになるような気がしました。つまり、このブログはとても大切だってことです(笑)。

ヨコハマアパートメントに「設計の未来」を見ました。今後のアダプティブマネジメントに期待しています。ありがとうございました。


山崎亮